リン酸処理は金属処理の方法

リン酸処理とは、リン酸塩溶液を用いる金属の表面処理方法です。金属の表面にリン酸塩皮膜を化学的に作ることで、金属の腐食を防ぐ効果があります。リン酸処理された金属は、表面に傷がついてもさびがあまり広がりません。そのため、さびやすい金属の保護に使われる方法です。リン酸処理の歴史は古く、古代エジプトではすでに使われていたそうです。主に工業分野で使われて発展した技術ですが、その用途は多岐にわたり、自動車の塗装や建築物の構造材など広く使われています。

リン酸処理には消泡剤が必須

リン酸処理をする上で必ず用いられるものが消泡剤です。消泡剤には、泡を発生させにくくする効果があります。リン酸塩溶液に金属を浸けると、化学的な反応を起こし、泡が発生します。そのままリン酸処理を続けると、泡によって金属の表面が綺麗に仕上がりません。見た目が悪く仕上がるだけでなく、金属加工の精度を落とす原因にもなります。また、発生した泡によって金属とリン酸塩の密着度が弱くなるので、リン酸処理の効果が半減してしまいます。このような理由から、リン酸処理には消泡剤が必要です。

消泡剤で泡が消える理由とその種類

消泡剤は液体に添加することで、液体の表面張力を弱めて泡の膜が維持できないようにします。消泡剤にはエマルジョン(乳剤)タイプ、界面活性剤タイプ、オイルタイプなどさまざまな種類があります。リン酸塩処理には界面活性剤タイプを用いるケースが多いようです。なお、消泡剤はリン酸処理以外にもよく使われています。身近な例では、豆腐の気泡を消すために界面活性タイプの消泡剤が使われます。

リン酸処理は酸性の液体を金属に浸すことで表面を溶かしてきれいにする工法です。金属加工において手軽な仕上げ工程として採用されています。